ブログBlog
学年別にみた「進路とは」将来や進路について考えてみよう
目次
「進路とはなにか」と問われて、すぐに回答できる人はどのくらいいるでしょうか。今回は進路とはなにか、意味や学年別に見た時の進路との向き合い方、考え方についてお話していきたいと思います。
「進路を考えるのなんてまだ先のこと」と感じる人や「まだ夢や目標がない」という人もいるでしょう。それでも、いつかは向き合わなければいけない進路について一緒に考えていきましょう。また、今後の進路選択の参考になれば幸いです。
進路とは
「進路」という言葉は比較的身近なものですが、改めて「進路」という言葉が持つ意味を振り返り、進路とは何かを考えていきましょう。
精選版 日本国語大辞典によると、「 進んで行く路。ゆくて。前路。」「 (比喩的に) 人が将来進む方面。」(引用:進路(しんろ)とは? 意味や使い方 – コトバンク (kotobank.jp))と言った意味を持つ言葉です。
今回は、2つ目にある「人が将来進む方面」という意味での「進路」について考えていきたいと思います。
年代別にみた進路とは
進路とは「人が将来進む方面」という意味を持つ言葉でした。もう少しかみ砕いて「夢」や「目標」という言葉に置き換えて考えてみましょう。
進路について真剣に考え出すのは、中学生や高校生頃かもしれません。ですが、保育園や幼稚園のに上がる頃には「憧れのヒーローがいた」「〇〇屋さんごっごで遊んでいた」という経験がある人も多いのではないでしょうか。
「なれるかどうか」や「夢の叶え方」は分からなくても、振り返ってみると自然と「夢」や「目標」つまりは「進路」について考えている瞬間は多いものです。
年齢が上がるにつれて、進路についてより具体的に向き合っていかなければならなくなりますが、始まりはどれも「好き」や「憧れ」「なりたい」という思いからではないでしょうか。
ここでは、小学生から高校生までの3段階に分けて、それぞれの年代にとっての「進路とはなにか」や「進路との向き合い方」について考えてみたいと思います。
キャリア教育
進路とは何かを考える前に、キャリア教育について少し触れようと思います。文部科学行政関連の審議会報告等で「キャリア教育」という言葉が初めて登場したのは、今から20年以上前の平成11年のことです。
文部科学省が公開するキャリア教育の手引きによると、平成11年12月に行われた中央教育審議会で、キャリア教育の必要性が次のように提唱されました。
「キャリア教育を小学校段階から発達段階に応じて実施する必要がある」とし、さらに「キャ リア教育の実施に当たっては家庭・地域と連携し、体験的な学習を重視するとともに、各学校ごとに 目的を設定し、教育課程に位置付けて計画的に行う必要がある」
(引用:第1節 キャリア教育の必要性と意義(その1) (mext.go.jp) P3)
また、キャリア教育の定義については、次のように書かれています。
キャリア教育は、子ども・若者がキャリアを形成していくために必要な能力や態度の育成を目標とする教育的働きかけである。そして、キャリアの形成にとって重要なのは、自らの力で生き方を選択していくことができるよう必要な能力や態度を身に付けることにある。
(第1節 キャリア教育の必要性と意義(その1) (mext.go.jp) P6)
ここまでの話を簡単にまとめると「自分の力で生き方(進路)を選択していけるようになるためには、小学校の段階からそのための能力や態度を身に付けていくことが重要であり、本人だけでなく家庭や地域との連携も欠かせない」ということが述べられてます。
小学生にとっての進路とは
小学生にとっての進路とはどのようなものでしょうか。「小学生で進路のことを聞かれても、まだ分からない」と思う人もいるかもしれません。
しかし、早ければ小学校受験を経験して「自分にとっての進路とは何か」を考えだしたり、将来の夢がある人は「目指す夢(目標)を達成するための進路とはどんなものか」を調べたりする人も出てくるでしょう。
また、先述したとおり、キャリア教育という観点からみると小学校の段階から自分の生き方について考えていくことはとても大切だと考えられています。小学生にとってのキャリア教育(進路とは)の考え方は、低学年・中学年・高学年の3段階に分類されます。
引用:第1節 小学校におけるキャリア発達、第2節 教育課程とのかかわりにおけるキャリア教育(その1) (mext.go.jp) P77
表にあるように、小学校の段階での進路とは、「〇〇学校へ進学したい」「△△株式会社に就職したい」のように具体的なことを考えるということではないようです。
もちろんそのような考え方も間違ってはいませんが、小学生にとっての進路とは「自分自身や社会生活への理解を深める」と共に「自ら進んで考え行動する」ことが重要とされています。
中学生にとっての進路とは
つづいて中学生にとっての進路とは何かを考えていきましょう。
文部科学省の公開する「中学校・高等学校キャリア教育の手引き(2023年3月)」では、中学校におけるキャリア発達について次のように述べています。
中学校は、「小学校における教育の基礎の上に、心身の発達 に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すこと」を 目的としている(学校教育法第45条)。
(引用:2023中学校・高等学校キャリア教育の手引き(第3章・1-3節) (mext.go.jp) P58)
中学生になると小学校の頃よりもより実践的な内容のキャリア教育が増えてきます。引用した「中学校・高等学校キャリア教育の手引き(2023年3月)」では、さまざまなキャリア教育への取り組みの実例も紹介されていますので、時間がある時に見てみると良いでしょう。
中学校はまだ義務教育の段階ではありますが、小学校の頃と比べると自分の意志や考えがより強く出てくる時期です。人間関係も広がり社会の一員としての役割や責任の自覚も芽生えてきます。独立心も高まり、小学校の頃に比べるとより具体的に将来の夢や目標について考えられるようになるでしょう。
また、中学校3年生になると高等学校への進学や就職など、自身の進路について向き合う必要性が出てきます。多くの人がここで初めて、人生における大きな選択を経験することになるでしょう。
中学生の進路の選択肢について詳しく知りたい方は、文部科学省が公開している以下の資料を参考にしてみてください。
高校生にとっての進路とは
最後に、高校生にとっての進路とは何かを考えていきます。
高校生は学生ではありますが、義務教育を終えて社会の一員として生きていく場面も多くなります。高校1年生になればアルバイトができるようになりますし、2022年4月からの改正民法施行により高校3年生で18歳を迎えると法律上は成人とみなされます。
また、高校を卒業した後の進路は将来の職業へ直結する場合もあるでしょう。選択肢は大きく「大学等への進学」「専修学校への進学」「就職」の3つとなっています。
文部科学省が公開している「高等学校教育の現状について」という資料で、令和2年度の高校生の卒業後の進路状況(学科別)をみてみましょう。
(引用:高等学校教育の現状について (mext.go.jp))
普通科高校を卒業した生徒は半数以上が大学等への進学を決めています。専修学校と合わせると、卒業後の進路は約9割が進学を選択しているようです。
一方、専門学科や総合学科では、大学等への進学者は全体の約3割~4割となっていて、専門学科は約5割の生徒が卒業後の進路として就職を選択しています。総合学科は、大学等進学者がやや多いものの、大学等、専修学校、就職が約3割とほぼほぼ同数となりました。
高校生になると、義務教育期間の時よりも卒業後の進路の選択肢(学校数や就職先)が増えます。具体的な夢や目標がないとなかなか進路も決まらないかもしれません。しかし、夢や目標がない人も、なるべく次に選択を迫られるシーンで選択肢の幅が狭まらないような進学先や就職先を選ぶようにすると良いでしょう。
進路とは何かを考えるのに早すぎることはない
今回は「進路とは何か」について、その意味や学年別の進路との向き合い方、考え方などをお話してきました。
今回参考にしたキャリア教育に関する資料にもあるように、キャリア教育は小学生の段階から取り組むべきとなっています。自分の進むべき進路や進みたい道がすぐには分からなくても「自分にとっての進路とは、どんなものであるか」を早い段階から考えることで、選択肢が広がり将来へのイメージもしやすくなるかもしれません。
どんな些細なことでも、自分なりに調べてみるとともに、周囲の人や学校に話を聞いたり、場合によっては様々な大人に相談したりしながら、自分の進路を選択していく上での情報や知識を身に付けていきましょう。
はたらく部LOG編集部
はたらく部LOG編集部は、中高生のみなさまやその保護者の方々に役立つ情報を発信していきます。