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指定校推薦と総合型選抜は両方受けられる?辞退の罰則・評定・校内ルールを解説
目次
指定校推薦と総合型選抜の併願を考えている高校生は、決して少なくありません。 「チャンスを広げたい」「第一志望を逃したくない」という思いから、どちらも視野に入れている人も多いはずです。 一方で、受験生の皆さんはこんな言葉を一度は耳にしたことがないでしょうか。
「指定校推薦は辞退したら罰則がある」 「指定校推薦はほかと併願できない」
こうした”噂”のような情報を聞くと、
- 本当に両方ねらって大丈夫なのか
- もしルール違反になったらどうしよう
- 高校や後輩に迷惑をかけてしまうのでは…
と不安になり、併願に踏み切れない人も多いと思います。 この記事では、このようなモヤモヤを解消するために、 指定校推薦と総合型選抜は本当に併願できるのか、どこまでがOKでどこからがNGなのかを、ルールと考え方の両面からわかりやすく整理していきます。
そもそも総合型選抜と指定校推薦の違い
総合型選抜と指定校推薦の併願についてお話しする前に、まずはそれぞれの方式の違いを以下に分かりやすくまとめました。
より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
→「AO入試(総合型選抜)と推薦入試(学校推薦型)の違い」
| 総合型選抜 | 指定校推薦(学校推薦型) | |
|---|---|---|
| 出願条件 |
総合型選抜
推薦不要 |
指定校推薦(学校推薦型)
学校推薦必須 |
| 出願時期 |
総合型選抜
9月~11月頃 |
指定校推薦(学校推薦型)
11月以降 |
| 併願可否 |
総合型選抜
大学によって併願可 |
指定校推薦(学校推薦型)
基本併願不可 |
| 主な試験内容 |
総合型選抜
書類・面接・小論文・ プレゼンテーションなど |
指定校推薦(学校推薦型)
書類・面接・小論文・学力試験ありの場合も |
| 評価の基準 |
総合型選抜
大学と受験生のマッチング |
指定校推薦(学校推薦型)
成績(評定平均)、出席率、学校生活態度 |
| 選考方法 |
総合型選抜
多面的・総合評価 |
指定校推薦(学校推薦型)
成績・人物評価を中心 |
| 合格後の進路変更 |
総合型選抜
大学によっては辞退可 |
指定校推薦(学校推薦型)
基本辞退不可 |
| 向いている人の特徴 |
総合型選抜
自己PR力があり計画的に準備が出来る人 |
指定校推薦(学校推薦型)
成績や出席率に自信があり早期合格したい人 |
| 向いていない人の特徴 |
総合型選抜
自己分析や準備が苦手、 自身の将来像が不明確な人 |
指定校推薦(学校推薦型)
日頃の成績や出席率に不安がある人、進路未決定の人 |
指定校推薦と総合型選抜は両方受けられる?結論と前提条件
結論として、指定校推薦と総合型選抜は制度上併願できるケースが多いです。 ですが以下の二点において確認が必須です。
- 大学ごとの入試要項に書かれたルール(専願か併願か、合格後の併願可否など)
- 高校ごとの校内規定(AOを出したら指定校NG、同じ大学を複数方式で出願不可など)
以下、詳しく解説していきます。
専願と併願の違いをおさえよう
まず初めに、専願とは合格したら必ずその大学・学部に入学することを前提に出願する方式のことです。つまり「この入試で受かったら、他の大学には行きません」と約束して受ける入試です。一方、併願とは、複数の大学・学部に出願し、その中で合格したところから最終的な進学先を選べる方式です。 指定校推薦と総合型選抜の併願を考える際は必ず大学の要項で確認しましょう。
入試要項でチェックすべきポイント
志望大学の入試要項でチェックすべきポイントは大きく3つあります。
「専願」「単願」の表記
1つ目は、「専願」「単願」とはっきり書かれているかどうかです。 たとえば「本学の総合型選抜は専願とする」「本学部の学校推薦型選抜は単願とし、合格した場合は本学に入学すること」などとあれば、その方式で合格した場合、原則として他大学への進学は認められないと考えます。
実質的言い換え表現の有無
2つ目は、「専願」という言葉がなくても、実質的に専願と同じ意味になる文言がないかどうかです。たとえば「合格した場合は本学への入学を確約できる者に限る」「合格後に他大学への進学を希望する者は出願を認めない」といった書き方がされている場合、名前こそ専願でなくても、中身としては専願とほぼ同じ扱いになります。
「他方式・他大学との併願」に関する注意書き
3つ目は、「他方式・他大学との併願」に関する注意書きです。「本学の総合型選抜と一般選抜の併願は認める」「学校推薦型選抜との併願は不可」「他大学との併願を妨げない」など、別項目として細かいルールが書かれていることも多いので、見落とさないようにしましょう。総合型選抜と指定校推薦の両方を受けたい、総合型選抜で合格しても一般入試を受けたい、と考えている人ほど、この部分の確認が重要になります。
もし入試要項を読んでもよくわからない場合は、まず高校の入試担当の先生に質問し、それでもわからない場合は遠慮せずに大学の入試課に問い合わせましょう。
校内規定でNGになるケース
さらに、見落としがちですが、各高校が独自に定めている「校内規定」もとても重要です。
- 「総合型選抜(AO)を出願した生徒は、その大学の指定校推薦の候補から外す」
- 「同じ大学・学部を総合型選抜と指定校推薦など複数方式で受験することは禁止する」
- 「総合型選抜との併願は認めるが、他の学校推薦型選抜との併願は認めない」
といったルールが、学校ごとに決まっている場合があります。こうした高校独自のルールは、ネット検索ではまず出てきません。
そのため、指定校推薦と総合型選抜の併願を考えている受験生は、できるだけ早い段階で担任や進路指導の先生に、具体的に質問しておくことが不可欠です。
- 「総合型選抜を出願した場合、同じ大学の指定校推薦は校内ではどう扱われますか?」
- 「総合型選抜と指定校推薦を両方希望することはできますか?」
このように、聞きたいことをはっきり言葉にして相談すると、自分の高校での扱いがクリアになり、後から「そんなルールだったなんて知らなかった…」と後悔するリスクを減らすことができます。
指定校推薦と総合型選抜の併願における最重要ポイント
指定校推薦と総合型選抜を両方検討するとき、多くの人が最初に考えてしまうのは「総合型選抜と指定校推薦、どっちが受かりやすいか?」です。もちろん合格率は大事ですが、指定校推薦と総合型選抜を併願する上で一番重要なポイントがあります。
それが「自分の“第一志望の大学”を、どの入試方式で取りに行くのか」という視点です。
基本的に、併願におけるトラブルは「専願で受験して合格をもらったにもかかわらず、他の大学へ進学する」というケースで発生します。そのため一番行きたい第一志望を専願の方式にすることで、トラブルを回避する事が出来ます。
併願において優先すべきは指定校推薦
先ほど専願と併願の違いについて説明しましたが、もう一度ポイントを整理すると、指定校推薦は基本的に「専願」です。大学側も高校側も、「合格を出したら必ずその大学に入学してくれる生徒」という前提で、枠や合否を決めています。
一方で、総合型選抜は大学によって専願だったり併願可だったりとルールが分かれますが、「指定校推薦で併願可にしている大学」は、まずほとんどありません。 指定校推薦は、「この大学に来ます」と約束してもらう代わりに、ほぼ間違いなく指定の大学に合格できるという大きなメリットを受ける制度だからです。
この前提に立つと、「指定校推薦で合格しておいて、あとから総合型選抜で別の大学に進学する」というパターンは、原則NGになります。これはルール違反というだけでなく、高校と大学の信頼関係を傷つけ、後輩の指定校枠にも悪影響が出かねない行為です。
世間で指定校推薦は辞退したら罰則があるといわれているのは、指定校推薦で受験をするという事には大学と高校間での信頼が関係しているからです。つまり、指定校推薦の受験を決めた時点で第一志望の大学が総合型選抜で受験する大学になるということはありえません。第一志望が総合型選抜での受験になるなら指定校推薦は諦めましょう。
したがって、「指定校推薦と総合型選抜を併願する」という前提に立つなら、受験スタイルは1つしかありません。
指定校推薦=第一志望で狙う大学
総合型選抜=すべり止め・練習
として位置づける受験スタイルです。
この大枠を押さえたうえで、次に「指定校推薦を第一志望にしたときに現実的な併願パターン」を具体的に見ていきましょう。
パターン①:第一志望の指定校推薦+滑り止めとしての総合型選抜
指定校推薦と総合型選抜を併願する上で基本のパターンです。
まず「本当に行きたい大学・学部」は指定校推薦でねらいに行きます。 そのうえで、総合型選抜では「受かったら進学してもよい」と思える大学を受験します。
指定校推薦は専願=合格したら必ず進学する前提なので、第一志望を指定校推薦で受験するのが大前提です。
総合型選抜はあくまで、
- 早めに合格を1つ持っておく安心材料
- 指定校にもし届かなかったときの進路候補
という位置づけにとどめ、出願校を増やしすぎないことがポイントです。
パターン②:第一志望の指定校推薦+本番の練習としての総合型選抜
もう一つのパターンは、総合型選抜を「経験値を積む場」として割り切る使い方です。
本命はあくまで指定校推薦の大学・学部に置き、総合型選抜では志望理由書の提出や面接など、指定校推薦と似た形式の入試を練習として受けてみます。
目的は「その大学に行くこと」よりも、
- 志望理由書を締切までに書き上げる練習
- 本番に近い雰囲気で面接を経験しておくこと
といった“場慣れ”です。
総合型選抜で合格をもらえたとしても、「最優先は指定校推薦の第一志望」という軸を崩さない前提で活用するイメージです。
今からできる受験計画|今日から始める3ステップ
ここまで、指定校推薦と総合型選抜の違いや、併願のときに考えるべきパターンを見てきました。
「なんとなく方向性はわかってきたけど、結局“今日から”何をすればいいの?」
という人のために、ここでは 今すぐできる3ステップの受験計画 をまとめます。 一度に考えると難しく感じますが、以下のステップを順番にこなしていくことで安全な受験計画を立てる事が出来ます!
まずは「ルールを知る → 自分の現在地を知る → 直近の行動を決める」という順番で、一つずつ整理していきましょう。
ステップ① 校内規定&志望大学の入試要項をチェックする
最初にやるべきことは、「自分が戦う土俵のルール」を知ることです。 指定校推薦と総合型選抜の併願を考えるなら、ここをあいまいなまま動き出すのはかなり危険です。
やることはシンプルで、次の2つです。
- 志望大学の入試要項を読む
- 高校の先生に、校内ルールを確認する
入試要項では、とくに次のポイントをチェックしましょう。
- 〇総合型選抜・学校推薦型選抜のページに
- 「専願」「単願」と書かれていないか
- 「合格した場合は本学への入学を確約できる者」などの表現がないか
- 「他大学との併願を妨げない」「学校推薦型選抜との併願不可」などの注意書きがないか
そのうえで、学校の先生にはこんなふうに聞いてみるとスムーズです。
- 「私の学校では、総合型選抜と指定校推薦を両方ねらうことはできますか?」
- 「総合型選抜を出願した場合、同じ大学の指定校推薦はどう扱われますか?」
ここで高校でのルールがはっきりすると、「そもそも自分は指定校推薦を第一志望にできる立場なのか」「総合型選抜をどこまで併用できるのか」が見えてきます。
ステップ② 自分の現在地を紙に書き出す
ルールがわかったら、次は「自分の現在地」を整理します。頭の中だけで考えず、必ず紙やノートに書き出すのがおすすめです。紙とペンの準備は出来ましたか?
- 〇志望校候補
- 行きたい大学・学部を、第一志望〜第3志望くらいまで書く
- 〇評定平均
- 現時点の評定
- 志望している指定校推薦の評定条件との“差”
- 〇活動実績
- 部活・生徒会・委員会・ボランティア・探究・コンテスト・アルバイトなど
- 「総合型選抜で語れそうなエピソード」を★マークしておく
- 〇1週間の生活リズム
- 平日と休日ごとに「勉強に使える時間」をざっくりメモ
ここまで書き出すと、
- 「評定は指定校推薦のラインに届きそう・ギリギリ・厳しそう」
- 「総合型選抜で話せそうなネタは意外とある・あまりない」
- 「今のままだと、とても総合型選抜+指定校推薦の両方はこなせない」
など、自分のリアルな状況が見えてきます。 自身の状況を直視したうえで、どのパターンが自分に合うかを考えると、今後の受験計画がブレにくくなります。
ステップ③ 併願における受験パターンを決め、直近1〜3ヶ月の「やることリスト」を作る
ステップ①・②で、
- 「自分が置かれているルール」(大学&高校)
- 「自分の現在地」(志望レベル・評定・活動・時間)
がだいたい見えてきました。
ここまで来たら、次にやるのは 「併願パターンを1つに決めて、それに合わせた“やることリスト”を作ること」 です。 まずは、この記事で整理してきた指定校推薦と総合型選抜の併願における2つのパターンから自身にはどちらが合っているか選んでください。
パターン①:
第一志望の指定校推薦を本命にしつつ、
総合型選抜で「行ってもいい大学」を1〜2校だけ受けておく
パターン②:
第一志望はあくまで指定校推薦に置き、
総合型選抜は「本番前の練習」として1校だけ受けてみる
自分の評定や志望度、活動実績、時間の余裕をふまえて、
「どちらのパターンが現実的か」「自分と相性がよさそうか」を決めてしまいましょう。 パターンを決めたら、次は 直近1〜3ヶ月の「やることリスト」 を3〜5個にしぼって書き出します。
(例:パターン①の場合)
- 指定校推薦で狙いたい大学・学部の候補を3つにしぼり、先生に相談する
- 総合型選抜で受ける大学は“最大1校”と決め、その大学の条件と日程を調べる
- 総合型選抜で話せそうな活動エピソードを3つメモにまとめる
- 次の定期テストで、指定校推薦の評定条件に近づくように勉強計画を立てる
(例:パターン②の場合)
- 指定校推薦で第一志望にしたい大学・学部を決め、募集条件と校内選考基準を確認する
- 練習用に受ける総合型選抜の大学を1校選び、志望理由書のテーマや形式を調べる
- 自己PRと志望理由の「たたき台」を400〜800字くらいで1本書いてみる
- 友達や先生にお願いして、簡単な模擬面接を1回やってみる
併願パターンが決まり、「やることリスト」が手元にあれば、
- 指定校推薦と総合型選抜のどちらにどれくらい力を割くか
- 今週・来週、何から手をつければいいか
が一気に明確になります。
ここまで来れば、あとはリストを1つずつつぶしていくだけです。 「指定校推薦を本命にしたうえで総合型選抜をどう使うか」という軸をぶらさずに、少しずつ受験準備を前に進めていきましょう。
指定校推薦と総合型選抜の併願で迷っている方へ
ここまで、指定校推薦と総合型選抜をどう併願するか、そのルールや考え方を整理してきましたが、
- 「指定校推薦を本命にするのか」
- 「総合型選抜をどこまで使うのか」
- 「そもそも第一志望をどこに置くのか」
理解はしてきたけれど、いざ自分一人で決断するとなると、不安やモヤモヤが残る人も多いはずです。
「TANQ BASE~総合型選抜コース~(旧:はたらく部アカデミー)」では、指定校推薦や総合型選抜で大学進学を目指す高校生に向けて、
- 自己分析
- 志望理由書・活動報告書の添削
- 面接・プレゼンの練習
といった「スキル面の対策」だけでなく、
- 指定校推薦×総合型選抜×一般をどう組み合わせるか
- 自分の評定・活動実績・忙しさに合った併願パターンはどれか
- 大学受験の先までふくめた「キャリアの方向性」
まで、経験豊富な大人たちが一緒に整理していきます。
もしあなたが今、
- 「指定校推薦と総合型選抜、どう併願すればいいのか」
- 「大学受験だけでなく、その先の進路まで含めて考えたい」
と感じているなら、ひとりで抱え込む必要はありません。 自分の強みやキャリア、そして“自分らしい併願パターン”を一緒に考えてくれる大人と出会える場所、それがTANQ BASE~総合型選抜コース~(旧:はたらく部アカデミーです。
指定校推薦を本命にしつつ、総合型選抜をどう使うか迷っているなら、 ぜひ一度、ご相談をお伺いさせてください。そもそもの進路をどうするかの相談も大歓迎です。
「どっちがいい?」ではなく「指定校を本命にしたうえで総合型をどう使うか」
本記事では、指定校推薦と総合型選抜の併願について、ルール・校内規定・受験パターンを整理してきました。結論として大事なのは、「総合型選抜と指定校推薦、どっちが良いか?」ではなく、指定校推薦を第一志望としておき、そのうえで総合型選抜をどう位置づけるかを考えることです。 指定校推薦は基本的に専願=「受かったら必ず行く」入試です。だからこそ、一番行きたい大学は指定校推薦でねらい、そのうえで総合型選抜を「すべり止め」や「本番前の練習の場」として、自分の状況に合わせて最小限・戦略的に使うのが現実的な併願の形になります。
指定校推薦と総合型選抜の併願を狙っている受験生の皆さんは確実に志望校の合格をもらおうと努力している方だと思います。だからこそ本記事を読んでトラブルに巻き込まれることなく確実に合格を勝ち取ってください!みなさんが良い結果を得られることを願っています!
足立陽菜
目標が無くなんとなく過ごした高校三年間。それでもはたらく部総合型選抜コースに出会い、真剣に自分の過去・未来に向き合った結果多くの気づきがありました。今は自身のパワーアップのためにはたらく部でのインターン活動のほかに大学での活動にも積極的に取り組んでいる真っ最中!

